プロジェクトストーリー



有川 洋文
機能資材部 第1課 課長
1999年入社

[プロフィール]
大学では有機化学を専攻した理系出身だが、ビジネスを学びたくて蝶理へ入社。組織自体は、様々な変遷を経たが、入社以来、一貫して資材畑で、現在は機能資材部・第1課課長。建築材料のフィルムや不織布をはじめ、オムツなどの衛生材料を主に取り扱っている。




滑り止めフィルムの新たな用途を発見。

今から4年ほど前、取り引きしていた建築材料のメーカーの方から「この素材何かに使えませんか」と滑り止めフィルムを見せられました。合成樹脂でつくられたそのフィルムは伸縮性が高く、メッシュ状になっているため軽く、通気性にも優れている。私自身は思い付かなかったのですが、様々な業界の知り合いに相談し、さらにその取り引き先の方が見て、衣料の生地と生地の間に挟み込んでみてはどうだろうということに。 ものすごく伸びて縮む、この伸縮性の高さはインナーに適していますが、さらに最適ではないかと着目したのがスポーツ系です。ジョギングやフィットネスが日常化している現在、ヨガパンツやスポーツブラなどが一般化し、まるでインナーのままの格好で歩いている人も見かけます。このフィルムを活かすニーズはここにあると思いました。





「市場を変える」商社のイノベーション。

研究開発部門や自社工場を持たない商社ができるイノベーションの一つは、市場を変えることです。私が扱ってきた建材市場で一般的に販売していた滑り止めフィルムを、まったく異なるインティメートアパレル市場へ仕掛けることにしました。インティメートアパレルというのは、肌に直接つけるインナー、室内着を意味します。市場を変えるという、私のこのイノベーションは、業界的に見てもレアなケースといえるでしょう。 いままでも生地と生地の間に挟み伸縮性を高めるフィルムはありました。でもそのほとんどがウレタンで、そのフィルムは材質も製造方法も異なります。簡単に伸びてしっかりホールドするフィット感の良さは今までにない快適性を実現。現在ワイヤー入りのブラジャーがありますが、このフィルムの伸縮性はワイヤーの代わりになると考えています。





最終製品のサンプル作成に時間と労力を要す。

あくまでも私がこだわったのは、市場を変えること。そのため、フィルムを挟んだ生地の生産は一切行わず、フィルム単体での販売に徹底しました。 しかし、同時に浮上した難しさは、フィルム単体では顧客が最終製品をイメージできないこと。そこでイメージしやすい最終製品のサンプルをつくることにしましたが、生地と貼り合わせるノウハウがありません。主にスリランカのメーカーでつくりましたが、貼る時の温度、圧力、加熱時間などが生地素材によってすべて違います。 フィルムの採用からインティメートアパレル製品にして販売するまで約4年かかったのは、このプロセスに多くの時間と労力を費やしたのも一因です。 また、製造および販売元のスリランカに弊社の現地法人がなく、情報が入りづらかったり、ビジネスの方法の知識がなかったというのもあります。





利益は、理念をもって目標に向かった先にある。

トライアンドエラーを繰り返し、このフィルムを採用した製品は2019年から本格的に販売が開始されました。うれしいことに予想以上の売れ行きで、今後ますます売れていくと確信しています。 このプロジェクトで私はいくつものやりがいを感じましたが、一つはでき上がっているマーケットに新しい風を吹き込んだこと。着用しやすさとホールド性能の高さは、インティメートアパレル市場から高く評価されています。 また、フィルムを製造しているのは東大阪にあるメーカーなのですが、その会社の担当者とは会社の垣根を越えて同じ目標に取り組んだ一体感、そして結果が伴った満足感を得ました。 利益の追求だけを考えるのではなく、理念をもって目標に向かい、うまくいった後に利益が生まれる。今後もこの姿勢でイノベーションを起こしていきたいと思います。


TOPへ